音高生です。いつもは弾けていたところがコンクールでいきなり暗譜が飛びました...

はじめに、コンクールで暗譜が飛ぶと減点される場合もあるかもしれませんが、されない場合もあります!私の体験談ですが、それこそ音高生の頃に受けた学生コンクールの東京大会予選で、バッハのフーガの出だしで思いっきり頭が真っ白になり、弾き直したことがありました。テーマで大失敗したらもうダメだろうと思っていましたが、通過しました。なので、そこはあまり心配しすぎないでください。審査員も人間ですし、コンクールで審査をしているような先生たちの中に、暗譜で全く苦しんだ人たちがいないなんてことは無いと思います。音楽が良ければ、見逃してもらえることもあるので、暗譜を気にするあまり萎縮して楽しく弾けなくなってしまったら残念です。

さて、読んでいる限りですが、ちゃんと対策をして練習をしているのであれば、後は舞台上での集中力がぷつっと切れてしまっていないかが気になりました。楽しく弾いている時、リラックスをし過ぎていると逆に集中しきれていなかったりします。暗譜が飛んだ時の状況をよく思い出してみてください。弾きながら何か別のことを考え始めたりすると、暗譜が飛んだりします。こればかりは、今のところ私は常に音楽のことを考えて、すべての声部を途切れずに歌いながら弾くことを練習の時から習慣づける、というくらいしか解決策が思いついていません。人間なので、ある程度長い時間演奏をしていると他のことが頭を過るのは当然です。ただ、普段から練習室で楽しく弾きすぎていると、手に任せて弾きすぎる癖がついている可能性があるかもしれないので、ここらへん確認してみてください。指の練習だけではなく、頭を集中させる練習もする、ということですね。

そして、跳躍のところで暗譜が飛んだとのこと。私もよく跳躍で飛ばします。これに関しては、自分で何かしらの合言葉的なものを作る・規則を見つける等して跳躍の位置を言語化して覚えたり(頭で覚える方法)、または跳躍だけ取り出して何度も確認したり(筋肉で覚える方法)異なるアプローチで詰めていくのが良いと思います。私も以前ブログで書いた通り、暗譜が飛ぶのは、大抵左手と跳躍なので、ここの事前対策は必須です。

本番で一度弾いて、暗譜が飛んで落ち込み、その後その曲はもう弾かない、というサイクルを作らないことも心がけてください。一度飛んだ後に、同じ曲をまた舞台で弾くのは怖いですよね。でも、もう一度チャレンジしてみて、絶対に飛ばさないように準備をし、それが上手く行くと自信に繋がります。一度暗譜が飛んでしまったけれど、ちゃんと直したら飛ばずに弾けた、という成功体験を積み重ねると、暗譜への恐怖も和らぎます。暗譜が飛んでしまった本番も、後の本番で飛ばないようにするための練習だったんだ、と思考を切り替えることも大事です。

結局、やることを全てやっても飛んでしまったなら、それはもう仕方がないのです。私の先生は「他人の演奏を聴いている時、間違えは気にならない。間違えた後にどう立て直すのかが気になる。それができるのがプロだ。」と言っていました。暗譜がもし飛んでしまっても、上手いこと誤魔化せたらそれはプラスポイントになるかもしれません。先生がポリーニの演奏を聴きに行った時に、思いっきりリストのソナタで暗譜を飛ばしていたけど、玄人以外には分からないように誤魔化していた、と話していました。逆に好感度が上がったようです。

折角今まで楽しく弾けているのであれば、過度に暗譜のことを考えすぎてしまい、暗譜怖い沼にハマってしまわないかが私は心配です(経験者)

お茶代投げてくれる人