初期に本物のピアノを使わないことは、その後の技術習得に影響しますか?
個人的には最初の数年(後ほど説明します)は問題無いと思っていますが、プロを目指すのであれば早めに本物のピアノに切り替えた方が良いです。ただ、本物のピアノ=アップライト(+狭い部屋)だと私のように頻繁に手や腕を痛めたり、その後に習得した技術を直していく作業に時間がかかる場合もあるかもしれません…とはいえ、グランドピアノなんてものを家に置ける人の方が珍しい訳ですし、たまにスタジオで練習する、などでもある程度のレベル・年齢までは十分事足りると思います。 そして、習っている先生にも相談してみてください。というのも、私は3-4歳まで電子ピアノでしたが、学習ペースがかなり早かったみたいで、4歳の時に当時のヤマハの先生にアップライトで良いから本物に変えた方が良い、というアドバイスを親が頂いたようです。切り替えるタイミングは生徒の本気度や、学習の進捗状況にもよると思うので、「最初の数年」という曖昧な書き方になってしまいました。今の電子ピアノはかなり本物に近くしっかりしているので、初歩の楽曲を練習する分には打鍵の心配などは然程無いと思います。電子ピアノの最大のデメリットは響き方にあると思います。音がどのくらい響いて、どのくらいの間が必要で、自分のいる空間の大きさがどれくらいなのか…みたいな事を計算して弾くのには勿論不向きです。しかし、そのような事を考えないといけないレベルに達した時、または技術的に電子ピアノでは難しい曲を弾く事になった時には、先生が教えてくれるはずです。 さて、「子供の頃こんな風に学べたら良かったな」ということですが、グランドピアノで、ある程度のスペースがあり、弾いている時に空間を認識できるところで練習ができたら理想でした。ただ、これは際限なくアレもコレも…と欲が出てきますし、私は環境も当人の努力も両方大事だと思っています。 置かれた場所で与えられた物を使い、本人が試行錯誤しながら理想の弾き方を追求することが、特にピアニストにとっては大事なことです。どこかの巨匠みたいにマイピアノを持ち運ばない限り、本番当日に弾くまでどんなピアノや会場に当たるかわかりません。私の子供時代の練習環境は理想とはかけ離れていましたが、その経験が今の私の「どこのどんなピアノでもなんとかしよう!」という自信に繋がっていると私は考えています。そして子供の頃は、グランドピアノで練習している子よりも上手くなってやろう、という情熱もあり、練習を頑張ることができました。考えようによっては、完璧な練習環境で無いからこそ、ポジティブに作用する面を見つけられるかもしれませんしね。