日本のクラシック音楽産業についてどうお考えでしょうか?演奏会を見渡しても大多数が高齢者で...
衰退産業であると私も思っています。クラシック音楽家はたくさんいて飽和状態であり、更にクラシック音楽自体が大衆ウケするものでは無いことを考えると、今の状態は需要と供給が一致していない点でもアンバランスだと思います。 クラシック音楽を好んで聴く人は、ある程度教養があり自発的に新しいことを学ぼうとする姿勢があるor金銭的余裕があるorその両方で、そもそもクラシック音楽自体は全ての人間が楽しめるものでは無いと私は思っています。演奏会やCDの為にお金を払い、何十分、何時間も椅子に座り、ただひたすら演奏を聴く、これは人間誰しもが簡単にできるアクティビティではありません。「クラシック音楽を楽しめるのは選ばれた人々」と言いたいわけでは決してありませんが、ある程度理解して楽しむには知識や努力が必要です。自発的に音楽について興味を持ち勉強することができる、又は昔楽器を習っていたなどの背景ある人々は、未来のリスナーとしてのポテンシャルがあると思います。しかし、そうでない人々に無理に興味を持ってもらおうとしても、長期的なリスナーの獲得には繋がらないと考えています。 聴衆の高齢化は日本だけではなく、世界的に見ても同じです。ただ、高齢化を懸念するばかり、ただ単に「若者」を狙おう!とするのは上手くいかないのでは、と私は考えています。先に書きました通り「クラシック音楽を楽しめる素質のある」若者を狙うならまだしも、ただ単に「若者」を狙おうとすると範囲が広すぎるのではないかと私は思います。
と偉そうにつらつら書いていますが、じゃあどうやって「クラシック音楽を楽しめる素質のある」人々を狙って売り込めばいいのか、は私も模索中です。若い方々に生涯を通してクラシック音楽と共に人生を歩む魅力を知ってもらいたいと思うのは山々なのですが。クラシック音楽に興味はあるけどしっかり聴いたことは無いよ、という若い人と話していると、「絵は見たらわかるけど、音楽は座ってなきゃいけないし、どうやって聴けばいいのか、何をどう聴けば良いのかわからない」と皆さん言います。ここらへんを、上手いこと説明できたらもっとクラシック音楽に沼る若者が増えるのかもしれません...
日本を見ていると、漫画やアニメ、コンクールなどでクラシック音楽が流行るきっかけが作れそう(もしくは既にそういう流れが存在する)とは思います。ただ、長期的なリスナーの獲得には個々人がいかに音楽を聴き続け、勉強し続けることができる素質があるかにもよるのではないのでしょうか。きっかけ作りには良さそうです。例えば、のだめカンタービレやピアノの森などの作品や、ショパンコンクールをきっかけにフィーバーが起こる現象はオランダでは今まで確認していませんので、そういうところは日本独特だな、と思います。